いつ選任が必要か
労働安全衛生法 第13条第1項は、事業者は政令で定める規模の事業場ごとに、医師のうちから産業医を選任し、労働者の健康管理その他の事項を行わせなければならないと定めています。その規模は、労働安全衛生法施行令 第5条で 常時 50 人以上の労働者を使用する事業場 とされています(要約)。
- 事業場ごとに数えます。本社 30 人・工場 60 人の会社なら、工場の事業場に選任義務があります。
- 「常時使用する労働者」には、パート・アルバイトなど雇用形態を問わず、常態として使用している労働者が含まれると解されています。個別の数え方は所轄の労働基準監督署に確認してください。
- 業種による区別はありません(衛生管理者の資格区分などとは別です)。
50人500人1,000人3,000人
50 人以上産業医の選任
衛生委員会・ストレスチェック
衛生委員会・ストレスチェック
500 人以上一定の有害業務
→ 専属産業医
→ 専属産業医
1,000 人以上専属産業医
3,000 人超3,000 人超
→ 産業医 2 人以上
→ 産業医 2 人以上
選任の期限と報告
- 選任すべき事由が発生した日から 14 日以内に選任する労働安全衛生規則 第13条第1項第1号。常時 50 人以上になった日が起点です。
- 法人の代表者・個人事業主・事業の実施を統括管理する者以外の者から選任する同条第1項第2号。法人の代表者と個人事業主は、事業場の運営について利害関係を有しない者であれば選任できるとされています(条文の括弧書き)。該当するかは所轄の労働基準監督署に確認してください。
- 遅滞なく、所轄労働基準監督署長に報告する同条第2項。条文は「電子情報処理組織を使用して」報告すると定めています(学校医が産業医を兼ねる場合など一部を除く)。報告事項には産業医の氏名・選任年月日・医籍の登録番号・専門科名・専属か否かなどがあります。様式(様式第3号)や入力の方法は厚生労働省の様式ページと所轄の労働基準監督署で確認してください。
- 辞任・解任があったときも報告する同規則 第13条第4項・第5項。産業医が辞任・解任されたときは、遅滞なく、その旨と理由を衛生委員会(または安全衛生委員会)に報告し(第4項)、辞任等があったことを電子情報処理組織で所轄労働基準監督署長に報告します(第5項)。後任の選任報告で代えることができます。労働局の案内では、この報告義務は令和 8 年(2026 年)8 月 1 日から施行とされています。後任の選任は、選任すべき事由が生じた日から 14 日以内が原則です。
選任しなかった場合
労働安全衛生法 第120条第1号により、第13条第1項に違反した者は 50 万円以下の罰金 の対象とされています(要約)。産業医が辞任・退任して空席になった場合も、改めて 14 日以内に選任する必要があります。
50 人未満の事業場
常時 50 人未満の事業場には選任義務はありませんが、労働安全衛生法 第13条の2 により、医師(同規則 第15条の2 により保健師を含む)に労働者の健康管理等の全部または一部を行わせるよう 努めなければならない(努力義務)とされています。独立行政法人労働者健康安全機構の 地域産業保健センター(産業保健総合支援センターの地域窓口)では、50 人未満の事業場向けに医師による健康相談・長時間労働者の面接指導などを無料で提供しています(内容・回数の上限は窓口により異なります)。詳しくは 産業医の探し方。
選任したあとに事業者がすること
- 産業医に、健康診断・面接指導の結果、週 40 時間を超えて労働した時間が月 80 時間を超えた労働者の氏名とその時間など、職務に必要な情報を提供する(労働安全衛生法 第13条第4項、同規則 第14条の2・要約)。
- 産業医の勧告を尊重し、勧告の内容と講じた措置(講じない場合はその理由)を記録して 3 年間保存し、衛生委員会に報告する(同法 第13条第5項・第6項、同規則 第14条の3・要約)。
- 産業医の業務の内容と、健康相談の申出の方法を労働者に周知する(同法 第101条第2項・要約)。
- 衛生委員会(50 人以上)の委員として産業医を指名する(同法 第18条第2項・要約)。
注意このページは条文の要約です。義務の有無や数え方は事業場の実態で判断されるため、所轄の労働基準監督署・都道府県労働局で確認してください。紹介サービスで探す場合は サービス一覧、費用は 費用の目安。
法令・公的資料の内容を一般向けに整理したものです。個別の事業場に選任義務があるか、どの対応が必要かは、所轄の労働基準監督署・都道府県労働局で確認してください。確認日: 2026-10-20。条文は e-Gov 法令検索の現行条文(2026 年 10 月 1 日施行時点)の本文と照合して要約しています。
出典・参考
- 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)— e-Gov 法令検索(確認日 2026-10-20)
- 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)— e-Gov 法令検索(確認日 2026-10-20)
- 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)— e-Gov 法令検索(確認日 2026-10-20)
- 労働安全衛生法 第13条(e-Gov法令検索)(確認日 2026-10-20)
- 労働安全衛生法施行令 第5条(e-Gov法令検索)(確認日 2026-10-20)
- 産業医の選任について(リーフレット)(厚生労働省)(確認日 2026-10-20)
- 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告(厚生労働省)(確認日 2026-10-20)
- Q 産業医はいつまでに選任し、どこに報告すればよいか(厚生労働省)(確認日 2026-10-20)
- 安全衛生関係主要様式ダウンロードコーナー(厚生労働省)(確認日 2026-10-20)
- 労働安全衛生関係の一部の手続きの電子申請が義務化されます(三重労働局)(確認日 2026-10-20)
- 令和8年8月1日から、産業医の辞任等に関する報告が義務化されます(鳥取労働局)(確認日 2026-10-20)
- 労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について(基発0428第4号)(厚生労働省)(確認日 2026-10-20)
- 産業医による労働者の健康管理等を徹底しましょう(厚生労働省)(確認日 2026-10-20)
- 産業保健総合支援センター・地域窓口(労働者健康安全機構)(確認日 2026-10-20)
- 地域産業保健センター(愛媛産業保健総合支援センター・労働者健康安全機構)(確認日 2026-10-20)
- 地域窓口(地域産業保健センター)(富山産業保健総合支援センター)(確認日 2026-10-20)
- 地域産業保健センター(岡山産業保健総合支援センター)(確認日 2026-10-20)
- 働き方改革関連法解説(労働安全衛生法/産業医・産業保健機能の強化関係)(厚生労働省)(確認日 2026-10-20)
- 働き方改革関連法に基づく労働安全衛生法の一部改正について(青森労働局)(確認日 2026-10-20)
- 産業医の選任の改善について(厚生労働省)(確認日 2026-10-20)
- 産業医について教えて下さい(厚生労働省 Q&A)(確認日 2026-10-20)